(写真)施設の状況を視察する行革審委員と市政モニター(藤花苑で)「経営」と「協働」を、その考え方の基本に置いた当市の行財政改革大綱。策定から2年余りが経過しました。この間、大綱の基本方針に沿った行動計画により、集中改革期間として数々の改革を進めてきました。その結果、行革の目標である「末永く自治体として存続できる自治体運営の仕組みづくり」は、進んでいるのでしょうか。そして、改革が遅れているとしたら、それはどんなところでしょうか。行革2年間の検証と、さらなる改革に向けての課題を考えます。まずは、この間の主な取り組みを振り返ってみます。
市職員の意識改革は
来庁者満足度は89パーセント
行財政改革行動計画では、職員の意識改革の象徴として、窓口アンケートによる来庁者満足度の目標を80パーセントに設定しています。結果は、18年度19年度とも、「満足」「やや満足」という回答の合計が約89パーセントでした。
この結果は、来庁者へのあいさつをことあるたびに指導してきた市長の姿勢や、接遇インストラクターの養成、チェックリストによる自己評価などの活動の成果が、表れたのかもしれません。
しかし、アンケートの自由意見欄には、一部の職員や職場の応対の悪さを指摘したものがいくつかありました。今後は、全体のレベルをさらに上げて「満足」という回答を増やし、接遇の落ちこぼれ職員をなくすきめ細かい取り組みが必要です。
一方、管理職のリーダーシップによる意識改革では、全職員が勤務評定の個人目標を設定。半年ごとに、上司が目標面接をして指導する仕組みを作り上げました。
また埋もれたままになっていた職員提案制度の改善や、職場から環境問題に取り組む恵那市版ISOの活動は、取り組みが遅れており、本年度からスタートしました。
【検証1】予算規模の適正化は―東濃5市での比較
●縮まらない予算規模
恵那市の予算規模を東濃5市で比べてみました。人口は、土岐市と瑞浪市の間で4番目ですが、予算規模は、多治見市に次いで3番目。人口で約6,600人上回る土岐市の約1.5倍と大きくなっています。また平成17年度と20年度との比較でも、適正化は進んでおらず、逆に微増しています。予算規模の適正化は、総合計画の事業実施とのバランスもあり、単純に縮小できるものでもありません。しかし、合併の特例として、合併前の6市町村の合計分が交付されている地方交付税が、平成27年度からは、徐々に削減されることから、今後、人口規模に見合った財政規模を目指すことが必要です。

(図)東濃5市予算規模の比較するグラフ
財政構造の改革は
109施設を指定管理に
市の職員数の適正化では、上下水道や病院など特別な会計を除いた普通会計の事業に従事する職員数を、平成17年4月1日の733人から平成22年度末に545人とする目標を立てています。そこで、定員適正化計画を立て、一般職の採用を控えたり、45歳以上の職員の勧奨退職制度を強化したりしました。この結果、平成20年4月1日現在の目標666人に対し、現状は624人となっており、目標を1年上回るスピードで適正化が進んでいます。これによる2年間の人件費削減効果額は、4億1千2百万円です。
次に、一般会計の予算規模は、平成22年度で244億円を目標としています。しかし、本年度は275億円となりました。適正規模に向けてなかなか小さくなりませんが、これは一方では、総合計画に沿った事業を実施しているためです。《検証1参照》
市の施設の管理運営を民間法人や外郭団体に委ねる指定管理者制度。ことし7月までに、養護老人ホーム恵光園やまきがね公園運動施設など109施設を移行しました。このことによる2年間の経費削減額は、7千9百万円です。
給食センターを統合
市の施設の統廃合では、平成19年4月から串原小中学校の共同調理場を明智給食センターに統合。また明智町の廃棄物リサイクル施設リサイクルプラザを長島町のリサイクルセンターに統合しました。平成20年4月からは、武並保育園と藤へき地保育園を統合し、新しい武並保育園としました。また上矢作給食センターを岩村給食センターに統合しました。さらに市の施設の廃止では、明智阿妻公民館、花白の湯、岡瀬沢研修センター、山岡少年ふるさと体験会館を地元に移譲しました。
民間の同種のサービスが充実し、役目を終えた交通災害共済事業を廃止しました。また、し尿収集業務の民間委託や、旧恵南各振興事務所を拠点としていたごみ収集車を恵南クリーンセンターあおぞらでの集中管理とし、経費を削減しました。
昨年度に策定した財政健全化計画に基づき、市の借金である市債のうち、年利率6.6パーセント以上のもの約5億3千万円分を、繰上償還しました。今後も、高金利の市債の繰上償還に取り組み、公債費負担を軽くします。
このほか、市の各種委員会や審議会の委員報酬を、平成18年4月から1回当たり5千5百円から3千円に引き下げました。また市内に52カ所あった選挙の投票所を、昨年4月の県議会議員選挙から、42カ所に統合しました。このことによる経費削減効果は、選挙1回当たり約3百万円が見込まれています。

(写真)施設統合により廃止となった旧上矢作学校給食センター
市民サービスの向上
開庁時間を45分延長
庁内に若手職員で組織する「職場点検プロジェクトチーム」を設置。このチームを中心に、市民サービス向上策を立案し、実行してきました。まず、2ペーシで紹介した窓口アンケートを実施。そこに寄せられた意見を基に、平成18年10月から市民課での窓口サービス時間を、午後6時までとし45分延長しました。
また出生、死亡、住居移転など、代表的な手続きの手順図を作成し、手続きの順番を分かりやすく掲示しました。さらに、ガイドラインを作成し、各種申請書類の押印廃止と添付書類の削減に取り組みました。昨年度からは、各種申請書類の様式を、市のホームページからダウンロードできるようにしました。
一方、合併後のサービス統一にも行革の一環として取り組みました。合併前の市町村ごとに異なっていた上下水道料金は、昨年6月から段階的に調整し、上水道は、平成25年度までに、下水道は平成21年度までに統一されることになりました。また、ごみの収集方法と、最大で約2倍の差があったごみ袋料金は、昨年4月から、完全統一しました。
人材育成と組織改革
勤務評定を本格実施
定員適正化計画により、市役所の職員削減が進む中、簡素で効率の高い組織が求められています。そこで、平成18年4月から、二つの部と11の課を減らす組織改革を行いました。さらに、昨年4月からは、部課長の権限で組織内の職員配置ができるようにしました。今後も、職員数とのバランスが取れた組織の改編を進めます。
勤務評定の結果を、職員の給与や人事に反映させて職務への意欲向上を目指す人事評価制度。平成18年度から、半年ごとに全職員の職務上の実績・能力・態度をAからEの5段階で評価し、その結果を勤勉手当や職員配置の基礎資料として反映させてきました。しかし、評価結果が真ん中のC評価に集中する傾向や、評価者によるバラつきなどもあり、さらに評定技術の研修を実施し、技術を高めていかなければなりません。
職員の人材育成では、昨年度から人材育成方針と職員研修計画を作成し、それに基づき、職員の階層や専門性に沿った研修を行いました。
情報共有と市民参画
情報共有指針を策定
行革大綱では、市民と市役所との情報共有が、市政への市民参画や協働のまちづくりの大前提だと位置付けています。そこで昨年度、情報共有の基本的な在り方として「情報共有の指針」「情報共有行動計画」をとりまとめ、それに沿って各種情報共有施策を進めました。
まず、市役所1階ホールに情報提供コーナーを、3階に情報公開コーナーを設置。さらに、中央図書館と各振興事務所にも情報提供コーナーを設けました。また昨年度、市のホームページを一新。情報を求めて閲覧した人が、欲しい情報にたどり着きやすくしました。
一方、市民参画の施策では、市の各種委員会の規程に、委員の公募を定めるよう徹底しました。「次世代育成支援市民会議」「行財政改革審議会」「図書館協議会」「バイオマスタウン構想策定協議会」などで、公募委員制を採用しました。また昨年度、「審議会等の会議の公開に関する指針」を策定し、会議公開の準備を進めました。
さらに、市の大きな計画や事業の素案を公開し、市民に検討参加してもらうパブリックコメント制度についても「情報共有の指針」で手続きの仕方を定めました。これにより、「人権施策推進指針」や「地域福祉計画」などでパブリックコメコメントを実施しました。
協働のまちづくりは
指針を策定して説明
協働の基本的な考え方は、行革大綱で示されていますが、さらに恵那市に合った協働の進め方を明らかにするため、平成18年度にまちづくり市民協会などとともに「協働のまちづくり指針」を策定しました。昨年度は、この指針に対する意見を求め、さらに理解を深めるため、各地域を回って説明をしました。
行革行動計画では、平成19年度中に、新たな市と市民の協働事業を、5事業スタートさせるという目標を立てていました。この目標に対し、まちづくり市民協会や地域協議会、市職員で研修グループを作り、協働事業の手順作りや担い手探しを行いました。しかし、新たな具体的協働事業のスタートまでには至りませんでした。
一方、地域のまちづくりでは、13の地域自治区で、まちづくりの実行組織が組織され、地域振興基金を活用した活動が展開されました。これらの活動に対し、各振興事務所を中心に支援しました。また13の地域自治区が集まった活動発表研修会を開いて、活動の交流を進めました。
【検証2】財政状況はどうか―類似他市との比較
●人件費や物件費、借金が多い
平成16年度から18年度までの3年間の財政指標を、全国の類似団体と比べてみました。
恵那市の7角形(黄線は16年度、青線は17年度、赤線は18年度)が、類似団体の18年度平均値(緑線)の正7角形より、外に広がれば広がるほど状態が良いことを示します。
恵那市の場合、平均値に比べて特に「将来負担の健全度」「定員管理の適正度」「人件費・物件費の適正度」の3指標が大きく劣っています。これは簡単に言うと、借金が多く、市職員や施設も多いため、人件費と物件費も大きくなっているということ。このことは、市債の繰上償還や、職員数の削減、公の施設の指定管理者制度移行や統廃合という当市の行革の方向性を示しているとも言えます。
また年度間の推移では、黄線の16年度、青線の17年度、赤線の18年度と、悪いながらも、年を追うごとに外側に向かって改善していることが分かります。これは、全国すべての自治体が行革に取り組んでいる中、ほかの団体を抜き、類似団体内での順位を上げているという見方ができます。

(図)類似他市との財政状況を比較した円グラフ
【検証3】行革による経費削減効果は
●2年間で13億4,900万円を節約
行革行動計画の実施による経費削減効果額は、2年間で13億4,900万円となりました。これは、計画策定時に試算した削減効果額17億6,600万円に対し、約76パーセントの達成率です。試算との差の主な理由は、職員数の削減や、公の施設の指定管理者制度移行の効果が実施した年度ではなく、翌年度から表れることによるものです。
- 公の施設の指定管理者制度導入 ▽18年度=2,900万円 ▽19年度=5,000万円 ▽累計=7,900万円
- 給食センターおよび共同調理場の統廃合 ▽19年度=500万円 ▽累計=500万円
- 公の施設の廃止 ▽18年度=300万円 ▽19年度=300万円 ▽累計=600万円
- 居宅介護支援事業所の民間移譲 ▽18年度=600万円 ▽19年度=600万円 ▽累計=1,200万円
- CATV等管理運営の外部委託 ▽18年度=1,900万円 ▽19年度=1900万円 ▽累計=3,800万円
- 内部事務処理の効率化 ▽18年度=4,300万円 ▽19年度=1億7,000万円 ▽累計=2億1,300万円
- リサイクルセンターの統廃合 ▽19年度=4,000万円 ▽累計=4,000万円
- し尿収集業務の民間委託によるコスト縮減 ▽18年度=800万円 ▽19年度=1,300万円 ▽累計=2,100万円
- 補助金・負担金の適正化 ▽18年度=5,000万円 ▽19年度=7,700万円 ▽累計=1億2,700万円
- 市税などの収納率の向上(市税) ▽18年度=4,200万円 ▽19年度=4,300万円 ▽累計=8,500万円
- 市税などの収納率の向上(国民健康保険料・介護保険料・市営住宅料金・保育料・学校給食費) ▽18年度=1,100万円 ▽19年度=1,100万円 ▽累計=2,200万円
- 普通会計職員数の削減 ▽18年度=1億3,600万円 ▽19年度=4億1,200万円 ▽累計=5億4,800万円
- 日々雇用職員数の削減 ▽18年度=4,100万円 ▽19年度=3,000万円 ▽累計=7,100万円
- 各種審議会・委員会委員報酬の見直し ▽18年度=2,200万円 ▽19年度=2,200万円 ▽累計=4,400万円
- 時間外勤務手当の縮減 ▽18年度=1,300万円 ▽19年度=1,400万円 ▽累計=2,700万円
- 料金収納率の向上(上水道・簡易水道・下水道) ▽18年度=200万円 ▽19年度=400万円 ▽累計=600万円
- 有収率の向上(上水道・簡易水道) ▽18年度=800万円 ▽19年度=1,900万円 ▽累計=2,700万円
- 下水道処理区域内の水洗化率の向上 ▽18年度=100万円 ▽19年度=100万円 ▽累計=200万円
- 介護老人保健施設稼働率の向上 ▽18年度=700万円 ▽19年度=700万円 ▽累計=1,400万円
- 料金収納率の向上(病院診療報酬個人負担分)・病床稼働率の向上・外来患者数の拡大 ▽18年度=▲2,800万円 ▽19年度=1,300万円 ▽累計=▲1,500万円
- 診療所外来患者数の拡大 ▽18年度=600万円 ▽19年度=▲4,200万円 ▽累計=▲3,600万円
- その他 ▽18年度=500万円 ▽19年度=800万円 ▽累計=1,300万円
- 合計 ▽18年度=4億2,400万円 ▽19年度=9億2,500万円 ▽累計=13億4,900万円
【検証4】指定管理者制度の成果は
●入園者との対話を重視
ルポ―養護老人ホーム恵光園
(写真)養護老人ホーム恵光園の米住潤園長
50人の高齢者が暮らす養護老人ホーム恵光園。平成20年4月に、これまでの市の直営施設から、社会福祉法人敬愛会による指定管理者制度に移行した。民間法人による市の施設の運営は、駅西駐車場に続いて2例目。新たな歩みから半年が過ぎた恵光園を訪れた。
敬愛会は、中津川市阿木で、特別養護老人ホーム「シクラメン」、市内大井町で「大井シクラメン」を運営している。その経験を生かして恵光園の指定管理者に手を上げた。まず、米住潤(よねずみじゅん)園長に現状を聞いてみた。「初めての指定管理受託ということで、緊張していましたが、半年が経過し、今のところ大きな事故もなく、順調に運営できています」。
指定管理者制度は、民間の活力やノウハウを生かしてサービスや効率性を上げる制度。では、市の直営と比べてどこが変わったのか聞くと、答えは意外だった。「老人ホームは、お年寄りの生活の場ということもあり、まず、生活環境を大きく変えないことが第一です。市営の施設として長年築き上げてこられたことを壊さないようにしています」。市職員13人は1人が退職、12人は異動した。しかし、入園者にとって最も身近な生活支援のスタッフは、市直営時代の臨時職員10人のうち9人が敬愛会の職員として採用され、途中退職した2人を除いた7人が残っている。一日の生活スケジュール、年間の園の行事も、すべて引き継いだ。入園者の一番の楽しみの食事。米住園長は、「入園者の声に耳を傾け、献立に柔軟に対応できるよう、栄養士と日々衝突しています」と笑う。
入園者の一人、自治会長の杉村又市さん(93)に聞いてみた。「運営が変わってまだ日が浅いので、何が変わったということもない。ご飯も、良くなったという人と、悪くなったという人とどちらもいるが、わしは良くなったと思うよ」。
では、市の直営との違いは何なのか。米住園長は「まず、専門職員を法人内の異動により効率的に配置できること。それから、行事などを行う際、人や物などの施設間の協力により幅広く取り組めます。また、設備関係の業者は法人内で統一し、運営関係の業者も法人の規程によって見直すことにより、効率的な改善ができるようになりました」と言う。こうした経費面での削減努力は、市が敬愛会に支払う指定管理料に表れている。市直営のとき約1億4千万円だった運営経費は、1億1千万円の指定管理料となった。約21パーセントの経費削減効果である。
経費削減以外の面でも「ぼつぼつシクラメンの色を出していきたいと思っています。もともとリハビリテーションが得意なので、その経験をここでも生かしたいですね」。高齢期の健康づくりの一環として、5月から始めた健康体操クラブでは、理学療法士の指導により30人ほどの入園者が笑顔で体を動かす。
米住園長は「敬愛の心で日々取り組んでいます。3年後の指定管理期間を終えたとき、次もまたお願いしたいと言ってもらえるような園の運営をしたい」と、静かに意気込んでいる。
(写真)理学療法士の指導で体を動かす利用者
【検証5】協働は進んでいるか
●市民、企業、行政が役割分担
ルポ―日曜リサイクル広場
(写真)市民エコ会議の長谷川美津恵代表
資源ごみをごみとして出さず、少しでも資源として回収しようと、「日曜リサイクル広場」の活動が始まって1年。市民団体と企業、行政のスクラムで確実な成果が挙がっている。行革の目指す「協働」のモデルケースとも言えるこの活動を追ってみた。
8月の第3日曜日。恵那総合庁舎の駐車場には、早朝からひっきりなしに車が出入りする。この日は月に一度の「日曜リサイクル広場」の開催日。回収する品目は、紙類、プラスチック容器、発砲スチロール、古着、瓶類などの資源ごみ15品目。この日1日で、9.4トンが回収され、資源として活用された。
この活動に取り組むのは、「市民エコ会議」のメンバー27人。市環境課の出前講座で、ごみ処理に年間10億円以上かかると聞いて驚いた市民を中心に結成された。
広場の運営は、メンバーの半数が1カ月交代で行う。駐車場の整理から、品目ごとのブースでの受け取り、分別、整理などが市民エコ会議の仕事。資源を回収する事業者4団体からも、6人ほどの社員が出て、資源の受け取りと搬送を行う。
市役所は、会場の確保や開催のPR、コンテナや横断幕などの資材の提供と瓶類のリサイクルセンターへの搬送を受け持つ。毎回、環境課の職員3人ほどが一緒に汗を流す。
「日曜リサイクル広場」では、市民、企業、行政の役割分担で、うまく協働の形ができつつあるように見えるが、実際のところはどうだろうか。市民エコ会議代表の長谷川美津恵さんに聞いた。「協働はうまくいっていると思います。活動に市役所がかかわってもらえることで、会場の確保や活動のまとまりができています。それから、回収業者の方も、ブースの配置にアイデアを出してくれたり、お年寄りの搬入を手助けしてくださったりして、最近はみんなで一緒にやっているという実感が出てきました」。
昨年10月の初開催から、間もなく1年。これまでの活動で、100トン余りの資源ごみが回収された。恵那市では、1トンのごみを処理するのに6万2千円の経費が掛かるので、年間で650万円ほどの経費が削減できたことになる。また、ごみ処理施設での90トン弱の温室効果ガス削減効果にもつながった。
やりがいは、こうした削減効果だけではない。「お年寄りが食品トレイをきれいに洗って持ち込み、本当にご苦労さんと言ってくださると、ごみを資源にしようという気持ちが自分たちと同じだということが伝わってきて、心からうれしくなります」と、長谷川さん。
「今後は、リサイクル広場の運営だけでなく、ごみを減らすための3R(リユース・リデュース・リサイクル)を広げる活動もしていきたいです。市の出前講座にも登録しましたし、長島小学校や恵那北小学校でも、子どもたちに3Rの話をしてきました。それから、いつでも、誰でも資源ごみを持ち込める常設の広場が出来るといいですね」と、夢が広がる。

(写真)ペットボトルのキャップとラベルを外す参加者

(写真)食品トレイを持ち込む市民 ■行財政改革後期行動計画がスタート
行政の減量化を加速・市民との協働を実践
2年間の集中改革期間の検証を踏まえ、「行財政改革後期行動計画」が定められました。行財政改革審議会で、昨年12月から3回の審議を経てまとめられたものです。期間は、平成22年度末までの2年半。自治体規模の一層の減量化、大規模公共施設の統廃合や、さらなる指定管理者制度への移行、協働事業のスタートなど、この2年間以上にハードルの高い改革内容となっています。いよいよ正念場を迎えた「経営」と「協働」の取り組み。その主な内容を紹介します。
(写真)市行財政改革審議会の審議の様子
市職員の意識改革は
目標管理に取り組む
職員の意識改革を進めるため、部課長が音頭を取って、それぞれの部課の使命や特性を踏まえた年間の目標を設定し、目標による管理を行っていきます。また部課の目標を達成するために、職員個人が「目標管理シート」を作成し、進行管理を行います。部課の目標達成状況は、半年ごとに市長が直接聞き取って指示。この目標と達成状況は、市ホームページ、情報公開コーナーで公表しています。
接客サービスの向上では、市のすべての施設に来られた市民に、接遇インストラクター(職場のリーダー)が率先し、職員からのあいさつを徹底する「声掛け運動」を進めます。
また月2回、職員による交通安全街頭指導や、ゴミゼロの日の清掃活動への参加を促します。さらに、「ISO推進プロジェクトチーム」や「ISO推進リーダー」を中心に、紙使用料の削減や職場廃棄物の削減などを実践。PDCAサイクルによる意識改革を行います。
埋もれたままになっていた職員提案制度は、定期的・集中的に一人一提案を募集し、職員各自の事務改善意識を高揚させます。
(写真)市役所庁舎
財政構造の改革は
21施設を指定管理に
市の職員数の適正化では、普通会計職員数を平成22年度末に545人とするという目標は変えません。定員適正化計画に沿って、一般職の採用を控え、勧奨退職制度を強化して目標達成を目指します。さらに、上下水道や病院、国民健康保険など、ほかの特別な会計の職員についても、適正な職員数を検討します。
次に、財政規模の適正化では、平成20年度で275億円の一般会計の予算規模を、平成22年度では244億円、平成27年度では226億円を目指す、という行動計画当初の目標は変更しません。
財政規模の縮小に合わせて、目指すべき財政指標について定めました。まず、平成19年度決算で89.1パーセントだった「経常収支比率」は、平成22年度に85パーセントを目指します。また「実質公債費比率」「実質赤字比率」「連結実質赤字比率」「将来負担比率」の4指標は、平成19決算年度として本年度から公表します。さらに、本年度中にこれら4指標(※1)の将来目標数値を作成します。
また新地方公会計制度研究会報告書に基づく財務書類4表(貸借対照表・行政コスト計算書・純資産変動計算書・資金収支計算書)を、平成20年度決算(来年度実施)から作成して公表します。
さらに、昨年度に策定した財政健全化計画に基づき、平成19年度から21年度までの3年間で総額19億209万円の公的資金補償金免除繰上償還を行う予定です。これにより、実質公債費比率(3カ年平均)は、19年度の15.4パーセントが、22年度には14.3パーセントとなる見込みです。また利子軽減額の試算額は、5億5,430万円です。
公の施設の指定管理者制度移行は、地域集会施設や体育施設を中心に、平成22年度末までにさらに、21施設を目標としました。また福祉関連施設を中心に、平成23年度以降の移行を目指し、17施設について検討を進めます。これらの分野別の内訳は、表1の通りです。
公の施設の統廃合では、ことし4月に統廃合した「武並保育園」に続き、他の保育園でも、1町1園を基本として、統廃合の調査研究を進めます。火葬場では、来年4月から「けいなん斎苑」を「えな斎苑」に統合します。また市内に2つあるし尿処理施設「藤花苑」と「恵南衛生センター」は、本年度より、バイオマスタウン構想(※2)の一環として統廃合の調査研究を進めます。
※1 4指標 1、実質公債費比率:標準的な年間収入が、一般会計の負担する借金などの返済に、どのくらい充てているかの割合。(3年間の平均) 2、実質赤字比率:一般会計などの実質赤字額の標準的な年間収入に対する比率 3、連結実質赤字比率:一般会計など、特別会計、企業会計を含めた実質赤字額の標準的な年間収入に対する比率
4、将来負担比率:一般会計が背負っている借金など(企業会計や特別会計などを含む)が、一般会計の標準的な年間収入の何年分かを示すもの
※2 バイオマスタウン構想 地域の有機性資源(し尿・浄化槽汚泥、間伐材、菜種など)を活用して、循環型社会の実現や産業の活性化を図る構想。市では平成20年度中にバイオマスタウン構想を策定します ●指定管理などの移行計画 【平成22年度までに移行する施設】
- 地域集会施設(市民の家・二葉会館・椋実公会堂・飯地町南集会所)
- 農林関連施設(上矢作林業センター)
- 文化関連施設(恵那文化会館)
- 体育関連施設(北運動広場・中野方運動広場・岩村グラウンド・明智グラウンド・上矢作体育館・上矢作山村広場・山岡弓道場・明智弓道場・串原弓道場・上矢作弓道場・明智B&G海洋センター・上矢作プール・明智武道館・毛呂窪体育館)
- 保育園(1施設)
【移行を検討する施設】
- 福祉関連施設(介護老人保健施設ひまわり・養護老人ホーム福寿苑)
- 地域集会施設(藤多目的研修センター・中野自治会館・中野会館・ふれあい会館吉良見)
- 商工関連施設(明智文化センター・串原チャレンジハウス創手味亭)
- 文化関連施設(中央図書館・中山道広重美術館・中山道ひし屋資料館・明智かえでホール・サンホールくしはら)
- 保育園(4施設)
ごみ処理施設を統合
温室効果ガスの削減や高騰する燃料費などのコストを抑制するために、「恵南クリーンセンターあおぞら」を廃止して、平成22年度から「エコセンター恵那」に統合を進めます。さらに、統合後のエコセンターは稼働時間を8時間から24時間連続稼動に変更し、燃料費を削減します。そのほかも、老朽化により利用者が見込めない施設や、移譲などが可能な施設は、廃止の方向で検討します。
庁舎経費の削減では、「ISO推進プロジェクトチーム」や「ISO推進リーダー」が指導者となって、温室効果ガスの排出量削減と、庁舎経費の削減を目指します。また平成22年度までに、紙使用料を平成19年度使用料の6パーセント削減を目標とした取り組みや、一週間の職場から出るゴミを1450キログラムから1360キログラムに削減する取り組みを行います。
市税や上下水道料金などの収納率の向上では、平成22年度収納率の目標数値を掲げ、全庁方式による臨戸訪問などの滞納整理を実施。また財産差し押さえを中心とする滞納処分を強化し、目標達成を目指します。
都市計画税の課税区域、課税地目、税率について、職員による「都市計画税検討プロジェクトチーム」によりさまざまな角度から検討し、公平性を確保できる税体制を目指します。平成22年度までに行われる都市計画区域の見直しと合わせて、都市計画税の課税区域、課税地目、税率の素案を作成します。
(写真)ごみ処理施設をエコセンター恵那に統合
市民サービスは
小中学校規模を検討
窓口アンケートによる来庁者満足度の目標は、「満足」「やや満足」という回答の合計を80パーセントに設定していました。しかし、すでに目標をクリアしたので、「満足」という回答だけで80パーセントを目指すこととしました。この目標を達成するため、窓口担当職員を指導する目的で、職場のリーダー養成の接遇インストラクター研修を行います。また接客マニュアルを作成して、顧客志向の徹底など職員研修を行います。
地方分権のもたらすメリットを最大限活用し、市民の暮らしに直接かかわる事務について、国や県からの事務移譲の受け入れを進めます。
児童・生徒の数が減少し続け、市内全体に小中学校の小規模化が進んでいます。このため、教育環境の観点から、小中学校の将来的な在り方について、保護者代表者、学校代表者や市民代表者で組織する小規模教育検討委員会を、ことし10月から設置して調査研究を進めます。
すべての地域の子どもたちに等しく教育・保育を提供するため、幼稚園と保育園の認定こども園化について検討します。認定こども園は、保護者の就労に関係なく、保育・教育を行う保育園と幼稚園が一体となったような施設です。
(写真)大井町地域防犯パトロールの様子
人材育成と組織改革
人事評価の精度向上
定員適正化計画で目標とする普通会計職員数の545人で、市政を運営できる簡素で効率の高い組織を構築します。このため、本年度中に組織と各所属定員の検証を行い、見直し案を作成して、組織の改編を進めます。
人事評価制度の精度向上では、人事評価の結果を、給与・手当・職員配置の基礎資料として、本格的に活用します。そのため、評価の精度を向上させるための検討会を開催します。また評定の結果を数値で公表し、評定者研修への反映と、精度の向上を行います。
職員研修制度の充実では、人材育成基本方針に基づき、職員研修計画を作成。求められる職員像に向かって各種職員研修を充実して、職員一人一人の能力向上と、意識改革を行います。
情報共有と市民参画
各種の委員会を公開
市民との情報共有は、昨年度とりまとめた「情報共有の指針」に沿って、各種情報共有施策を進めます。まず広報紙の充実では、広報えなを、最も基本的な市民との情報共有媒体として位置付け、市民参画方式を含む、市民の立場に立った、分かりやすくて親しみやすい広報紙となるよう、編集姿勢の改善に取り組みます。
またホームページを総合的な情報共有媒体と位置付け、情報提供機能を充実させます。特に、市民や市の外部からのサイト訪問者に対して、分かりやすく、利用しやすい情報提供を行うため、利用者の意見を反映させて改善します。また各課などで情報提供担当者を選出し、研修などを行いながらコンテンツ(内容)の充実を進めていきます。
ケーブルテレビ網を利用した行政放送番組は、本年度市内全域へのサービス開始により、行政放送番組と音声告知放送をさらに充実させます。また平成21年度までの防災行政無線整備により、音声告知放送との運用の分類をして、平成22年度以降の運用を行います。
あらかじめ登録された市民のメールアドレスに情報を配信する、メーリングリストサービス。ことし9月から防災、生活安全、学校、幼稚園、保育園の情報配信を開始しており、さらに配信情報の充実を進めます。
市政に関する各種の委員会や審議会などを公開し、市民参画を進めます。このため、会議や会議録の公開、委員の公募枠設定を進めます。また市が重要な政策を実施する場合、あらかじめ原案を公表して市民から意見を求め、それを考慮して政策内容を決定するパブリックコメント制度を定着させます。
インタビュー《恵那市の行革のこれから》
行政の減量化は進んでいるが…。

(写真)恵那市行財政改革審議会オブザーバー 西村貢岐阜大学地域学部教授
恵那市の進めている行財政改革は、総合計画と車の両輪という位置付けをしており、この考え方は大切だ。何のために行革をするのかが明確になっている。行革で節約した財源を、例えば「子ども医療」の無料化として生かしている姿勢は、市民からも歓迎されているのではないか。
もう一つ優れている点は、行政の減量化に真剣に取り組んでいること。指定管理者制度なり繰上償還などがそれ。その成果が2年間で13億円余という大きなお金の削減につながっている。これらは行政の組織内努力によって生み出されている。そのことは評価されていい。ただし、職員削減をはじめとする行政の減量化は、ぬれぞうきんを絞るようなもので、いずれ限界が来る。
そこで、必要となってくるのが「市民協働」という考え方。恵那市の行革大綱でも「協働」を柱の一つとしているが、まだまだその仕組みが弱い。行政活動には行政が本来的に担うべき業務と住民参加によって進めた方が効果的・効率的な業務がある。
道路や教育などは行政の本来的な業務だが、住民の暮らしと観点から考えると、福祉や地域の活性化など多面的な要望がある。しかし、この多面的な要望を行政任せで実現するのではなく、住民の知恵や経験で事業化した方が効果的で効率的な活動もある。住民の取り組みを支援する民間の組織も必要になる。それは、場合によれば自治連合会のようなものでもいいかもしれないし、まちづくり市民協会、地域自治区でもいい。こうした組織と連携し恵那市活性化のために、住民の自身によるまちづくり活動を活性化させることができるかどうかが、行政財政改革の後半の鍵となるだろう。
協働のまちづくりは
協働事業を洗い出す
市民サービスの中から協働になじむものを、実現性や効果の点から市民と行政との協働作業で洗い出し、協働事業としての展開を進めます。また協働のまちづくり指針を受けて、協働事業の身近な事例を載せた事例集を、本年度中に作成します。さらに、インターネットを利用した市民活動情報サイトを本年度に構築して、市民活動に関する情報の収集と提供を行います。
市民の自主的・主体的な公益活動に対して助成するまちづくり市民活動推進助成事業を、より効果のあるものとするため、本年度に市民活動推進事業検討会議を立ち上げ、まちづくり基金助成事業の在り方を検討します。また、まちづくり市民協会など中間支援組織(※3)との定期的な打ち合わせや、まちづくり学習などの連携活動を推進します。
市民活動の活性化を図るため、活動団体の相互交流・支援のための拠点施設設置を検討します。
市民活動のうち、地域自治区内で活動するまちづくり団体やその他の地域のまちづくり団体に対し、各振興事務所を中心に活動支援を行い、地域づくり基金による活動資金の助成を行います。また13の地域自治区で展開されているまちづくり活動の発表会を行い、地域の情報交換を図ります。
まちづくりを学び生かすことを目的に、出前講座やワークショップ研修、ファシリテーター研修、地域リーダー研修、職員研修会などを開きます。
(写真)市民活動推進助成事業の発表会の様子
詳細をHPで公表
行財政改革2年間の検証と、「後期行動計画」のあらましをお伝えしました。今後、目標年度の平成22年度末までの2年半の間、全力で改革を進めていきます。今回の紙面では紹介しきれなかった後期行動計画の詳しい内容や目標数値、計画策定までの行財政改革審議会での審議内容などは、市ホームページでご覧いただけます。
アドレスhttp://www.city.ena.lg.jp/
□問い合わせ 企画課行財政改革推進係(内線332)
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