
(写真)明知鉄道岩村駅での通勤・通学の様子
恵那市には、明智駅から恵那駅までを10の駅で結ぶ、第三セクターの明知鉄道があります。
明知鉄道の各駅からは地域を結ぶバス路線が延び、わたしたちの大切な“足”となっています。
近年、自動車の利用が増加する一方で、明知鉄道やバスの利用者数は減少しています。このままでは、わたしたちの大切な“足”を維持できなくなるかもしれません。
今回は「明知鉄道」と「自主運行バス」の現状についてお知らせし、本年度中に皆さんのご意見を取りまとめ、来年度からさまざまな実験を行います。そして利用しやすい公共交通体系への再編を行っていきます。
わたしたちの大切な“足”に対するご意見をお聞かせください。
(写真)市自主運行バス毛呂窪線
(写真)市自主運行バス上矢作線
(写真)市自主運行バス岩村地区
輸送人員の減少と増加する市の負担
昨年度、明知鉄道の年間輸送人員は約42万人、バスは約29万人でした。年々利用者数は減少傾向にあり、運賃では賄えない分を、市が負担しています。
1年間に市が負担した額は、明知鉄道が約5,600万円、バスは約7,600万円、合計で約1億3,200万円。市の負担額を輸送人員1人当たりで計算すると、明知鉄道154円、バス263円掛かっていることになります。
しかし現状では、朝夕の高校生の通学時、2両編成で運行している明知鉄道が満員となっています。
また病院や買い物へ行くために、バスや明知鉄道を利用して、通っているお年寄りが多くいます。
●明知鉄道
明知鉄道の利用者数は、昭和60年11月に第三セクターとして引き継がれて以降、幹線道路の整備改良やマイカーの普及、生活環境の変化などもあり、減少傾向が続いています。年間の利用者数は、ピーク時の半数以下となってしまいました。
しかし平成19年度は平成18年度と比較して、輸送人員や収益、費用など全ての項目で、わずかですが改善の方向になりました。
■平成19年度の状況
輸送人員 42万2,965人、収益 1億421万円、費用 1億5,589万円、損益 ▲5,168万円、市負担額 6,524万円(恵那市5,585万円、中津川市939万円)
(図)明知鉄道輸送人員の推移
●市自主運行バス
(写真)市自主運行バス山岡地区
市自主運行バスとは、市が費用を負担し、バス事業者に委託して運行するバスのことです。
現在、市には自主運行バスが20路線あります。バスの利用者数は、合併後の3年間の実績を見ると、毎年減少しています。平成19年度には、自主運行バス全体で約29万人の方が利用していますが、市の負担額は約7,600万円となりました。このほかにも、県から補助金を受けています。
利用者が減り、運賃収入が減少するにつれ、市の負担額は増えています。
■平成19年度の状況
輸送人員 29万607人、収益 6,603万円、費用 1億7,702万円、損益 ▲1億1,099万円、市負担額 7,643万円
(図)市自主運行バス輸送人員の推移
明知鉄道や市自主運行バスに携わる人たちの「声」
「お客さまが第一です」
●明知鉄道株式会社 運転検修区長兼運転主務 小川建史(おがわたけし)さん
(写真)小川建史さん
皆さんに安心して乗ってもらえるように、故障が出ないように、日々の点検には力を入れています。
最近は高校生の乗車が多くなりうれしいですね。朝は通学のため、2両編成で運行しますが、車両が6両しかないため、何とか故障しないようにと、心掛けて点検しています。
(写真)鉄道車両の点検作業の様子
●明知鉄道株式会社 主任運転士 河村征(かわむらせい)さん
(写真)河村征さん
お年寄りには優しく接し、将来、社会へ出られる生徒には、ルールとモラルを守ることの大切さを知ってもらえるようにと、常に心掛けて運転しています。
皆さんを乗せる前には、必ず点検、機器の確認を行い安全運行に務めています。明知鉄道に乗ることにより、四季折々の変化を楽しんでいます。
●東濃鉄道株式会社 恵那営業所所長 逸見春美(いつみはるみ)さん
(写真)逸見春美さん
わたしたちは、お客さまの大切な命を預かっています。安心して乗っていただくように、安全を常に心掛け運行しています。そのため日常の点検には、力を入れています。
「お客さまを第一とし、真心込めたサービスと、安心を提供しましょう」をテーマに頑張っています。
東鉄バスに安心して乗ってもらい、東鉄バスファンを増やしたい。
(写真)東鉄バス恵那峡線
「わたしと明鉄(あけてつ)」
●県立恵那南高等学校3年 スケート部部長 水野悠紀(みずのゆき)さん
(写真)水野悠紀さん
明知鉄道は通称「明鉄」と、高校生の間ではみんな呼んでいます。その明鉄は、高校に通っている私にとって、無いと学校に来られない大事な乗り物。1時間に1本なので、乗り遅れると1時間後の明鉄になってしまうけど、不便さを感じたことは特にありません。
明鉄に乗るのは、岩村から明智までの20分間。その少しの時間のようですが、1年生のときは知らない地域の子としゃべって仲良しになったり、テストのときは問題を出し合ったりと、思い出ができる大切な20分間だと思います。
インタビュー「公共交通はまちの魅力」
●明知鉄道沿線地域公共交通活性化協議会委員 加藤博和(かとうひろかず)さん
(写真)加藤博和さん
車があれば自由に動けますが、車 が無かったら動けない。こういう車社会は本当にいいでしょうか。
もし、けがをして、運転できなくなったらどうなるのでしょう。学生や高齢者のように車を運転できない人たちは、どうしているのでしょう。車に乗れないことは不自由というまちは、魅力的なのでしょうか。
例えば、車を運転できない人が、誰かに送ってもらうときなど、我慢をしている場合があります。でも公共交通なら誰でも気軽に乗ることができ、精神的にも楽なはず。
ただ公共交通を維持していくには、お金が必要。昔のように車を持っていない人が多いときは、公共交通をみんなが利用し、運賃収入だけで運営できました。しかし今は利用者が減少して、運賃収入のみでは厳しい状況となっています。
問題は、運賃収入のみで採算を取ることができた時代があったため、それが当たり前だとみんなが思っている日本の社会です。
欧州など世界の多くの国々では、運賃収入だけで公共交通を支えることができるとは、最初から考えていません。
公共交通は、利用するから意味が あります。利用しない人にとっても、そこに走っていること自体に意味があります。公共交通はまちの魅力でもあり、それに対してお金を払ったり、守ったりする努力は、おかしいことではありません。
本当に明知鉄道が無くなったらと想像してみてください。恵那を南北に結ぶ主軸となる公共交通は必要。無くなったら確実にばらばらになるでしょう。
各地で鉄道が無くなっている昨今、運賃だけでは支えられませんが、実は運賃を払っている人だけが恩恵を受けているわけでなく、公共交通は、地域にとって大切なものということを考えてほしい。
公共交通は無くなって数年後に、じわりじわりと必要性が分かるもの。一度無くなったら復活は困難、今の段階ならば、みんなで守り育てることができるのです。
鉄道の弱さは、沿線や駅の周辺し か恩恵が無いこと。全域に恩恵を分けるには、バス・タクシー・自転車・徒歩・車と、鉄道という軸を連携させていくことが必要。
これからの取り組みは、明知鉄道という財産をどうしたら有効に活用でき、価値を高めて後世に残していけるかなのです。
今までは「乗って残そう」でした。これは運賃により鉄道を残そうという考え方。そうではなく「残す価値がある鉄道とは何なのか」を考えて、価値があるから残す。そのために残す価値が分かり合える活動を、作り出さなければなりません。
自分は関係ない、自分がやっても変えられないと思った瞬間から、地域の公共交通は危うくなっていきます。みんなが自分の身になって考えることによって、この問題は前進するはず。そうやって鉄道やバスは、つくり変えていくもの。公共交通はまちの一部で、空気のようなものですが、放っておくとどこかに飛び去ってしまいます。
明知鉄道・バスがある暮らしとは 何なのかを、考えてみてください。今の明知鉄道やバスを見て、不便だからいらないではなく、どうしたら便利になり、どうしたら使いやすくなり、どうしたら自分も使えるか、いろいろ考えてください。
その結果、使い勝手も良くなり、自分たちで考えたから利用しなければと思い、それによって利用者が増え業績も上がり、地域も魅力的になっていくはず。他人事ではなく、みんなで自覚すること。今までそうしなかったから、落ち込んできたのです。
「ここに住んでいて良かった」「生きていて良かった」と思えるようにすること、その中の一つに公共交通があるのです。
だから前向きに行動することで、いい方向に変えられるはず。変えることができなくて公共交通が無くなってしまったら、取り返しがつきません。
本年度、地域公共交通の連携計画を策定
平成19年10月1日に「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」が施行されました。
これにより地域の関係者が、地域のバス交通や地方鉄道といった地域公共交通について総合的に検討し、地域住民の移動手段の確保などの取り組みに、国からの支援を得ることができるようになりました。
このため昨年度策定した基本方針(下記)を基に「地域公共交通活性化総合連携計画」を策定し、課題の整理を行った上で、解決するための施策を決めます。
そして平成21年度から平成23年度の3年間にわたり、その計画に従って国の支援などを受けながら、実行に移していきます。
そこで本年度は、その計画策定に向けて、以下のような調査を実施する予定です。各種アンケート調査やインタビュー調査などに、ご協力をお願いします。
(1)バス利用者アンケート
(2)高校生アンケート
(3)病院・診療所アンケート
(4)グループインタビュー
【基本方針】
1.明知鉄道の幹線鉄道としての機能強化
【取り組みの内容の概要】
・車両の更新により、安全性の向上と所要時間の短縮
・新駅の整備により、利用の多様化
・阿木駅に行き違い設備を整備し、運行間隔の短縮による利便性向上、緊急時のダイヤ調整の迅速化など
【基本方針】
2.明知鉄道の支線としての位置付けを念頭にしたバス路線の再編
【取り組みの内容の概要】
・「路線の再編」、「乗り継ぎ割引」、「ダイヤの調整」などによる、明知鉄道とバス交通の連携と強化を検討
・2009年度から、バスの再編などの実証実験を実施など
【基本方針】
3.明知鉄道に対する地域住民のマ イレール意識の向上
【取り組みの内容の概要】
・地域ごとにきめ細かな広報周知を展開し、公共交通を活用した移動方法に関する十分な周知を図る
・定期的な説明会の実施。沿線植栽の促進など
【基本方針】
4.明知鉄道を活用した積極的な観光商品の開発と情報発信の展開
【取り組みの内容の概要】
・明知鉄道を活用した観光周遊プランを作成。外部に対して積極的な情報発信を展開することにより、観光客利用の増加を図る
・駅名の変更の検討など
【基本方針】
5.明知鉄道やバスの利用促進を目的とする関連組織の再編成
【取り組みの内容の概要】
・明知鉄道の利用促進や運営支援を行っている各種団体の方々を組織化し、各取り組み間の連携を強化
・公共交通に対する継続したニーズ把握のための仕組みづくりなど
暮らしに役立つ公共交通を考える会
明知鉄道沿線地域の皆さんから、明知鉄道やバスなどの地域の公共交通に対するご意見をいただくため「暮らしに役立つ公共交通を考える会」を開催します。
日ごろ不便に感じていることや、どうしたら使いやすくなるかなどを、皆さんと一緒に考えます。
参加希望の方は、商工観光課交通政策係までお申し込みください。
□とき・ところ
・明智町=9月1日(月曜日)午後7時から・明智振興事務所
・山岡町=9月2日(火曜日)午後7時から・山岡振興事務所
・岩村町=9月3日(水曜日)午後7時から・岩村振興事務所
・串原=9月4日(木曜日)午後7時から・串原コミュニティーセンター
・上矢作町=9月8日(月曜日)午後7時から・上矢作振興事務所
明知鉄道お地域と共に考える
「第2回明知鉄道シンポジウム」の開催
明知鉄道の現状を皆さんに知ってもらい、明知鉄道が地域にとってどれぐらいの価値があるのか、一緒に考えるためのシンポジウムを開催します。
第1回のシンポジウムで基調講演をいただきました東海旅客鉄道株式会社相談役 須田寛(すだひろし)氏を講師に招き、明知鉄道が地域に果たす役割について講演いただきます。
□とき 10月12日(日曜日)午後1時半から
□ところ 岩村公民館 大ホール
□講師 東海旅客鉄道株式会社相談役 須田寛氏
新駅の名称を募集!
明知鉄道では、岩村駅と飯羽間駅との間に、新駅を開設することになりました。
この地域には住宅団地や商店などが建設され、明知鉄道利用者の利便性の向上と、新たな利用客の増加が見込まれます。新駅はことし12月をめどに完成して、利用できる予定です。
多くの皆さんに親しみを持って利用してもらうため、この新しい駅の名称を募集します。
□応募方法 官製はがき、電子メールなどに(1)住所(2)氏名(3)電話番号(4)新駅の名称(漢字の場合振り仮名)(5)名称の意味または理由など―を明記の上、提出してください。
□締め切り 9月1日(月曜日)必着
□決定方法 選考委員会で選考
□結果の発表 本紙で発表
皆さんの意見で決まる 将来の地域の足
「今日は乗らなくても、明日は必要となるかもしれない」。それが、地域の公共交通です。皆さんの思いを集約しないと、大切な子どもたちに地域の財産として引き継げなくなるかもしれません。
皆さんのご意見を、ぜひお寄せください。
□ご意見提出方法
本紙折り込みの「広報直通便」をご利用ください。通常の広報直通便と区別するため、【公共交通】などの見出しを記入し投函(とうかん)してください。
ご意見の提出期限は、9月10日(水曜日)必着です。お寄せいただいたご意見は、「地域公共交通活性化総合連携計画」の参考とさせていただきます。
【共通】
□申し込み・問い合わせ 〒509-7292 商工観光課交通政策係(明知鉄道沿線地域公共交通活性化協議会事務局) 電話番号0573-26-2111(内線522、加藤・樋田)、メールアドレスshoukoukankou@city.ena.lg.jp
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